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『ゴジラ: キング・オブ・モンスターズ』 レビュー(ネタバレ注意)

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あらすじ

『GODZILLA ゴジラ』から5年後の世界を舞台に、復活した神話時代のモスラ、ラドン、キングギドラらの怪獣たちとゴジラの戦い、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようとする特務機関・モナークの活躍を描く。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

レビュー

 

 

 

「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は「モンスターオペラ」と呼ぶのに相応しい怪獣賛歌

 「GODZILLA ゴジラ」「キングコング: 髑髏島の巨神」から続くモンスターユニバース第三弾。これまでの監督もオタクでしたがそれと同じく(それ以上に)今作ではドハディ監督の怪獣愛が伝わってきました。監督はこの映画を"モンスターオペラ"だと言っています。"ただ怪獣がが動いたり戦うだけ"と言ったら聞こえが悪いですが、そこにドラマが詰まっています。この映画の主役は彼らです。監督はそれを理解しているので主役の怪獣4体についてはそれぞれに時間をかけた見せ場が用意されていて台詞が無くても、映像や音楽だけで充分過ぎるほど感動させてくれます。天に向かって放射熱線を放つ場面、ギドラによって雲が生きているようにうごめく場面など美しいビジュアルが満載で単に「映像が凄い」というよりは「映像から愛が溢れている」と言った方がいい気もします。

人間パートに関しても個人的に好印象でした。一方通行の関係ではなく、互いに影響し合う、そんな描かれ方になっていてありがちな「人間パートになった瞬間どうでもよくなる」事態にはなりませんでした。特に渡辺謙演じる芹沢博士の役割が前作からかなり大きくなっています。中盤、核兵器を積極的に作戦に用いる場面があり賛否が分かれるでしょうが、自分はこの描写はありです。核により父を亡くした博士が核と密接な関係を持つゴジラと正に向き合う印象的な場面。「核を肯定的に描いている」という批判もありますが、博士の時計が象徴的に写されていることや監督のインタビューを読めば決してそうではないと分かる思います。むしろ良い悪いという単純なものでは無く、もっと複雑で深いテーマを表す名場面だと感じました。他のキャラも立っていて俳優も皆良かったです(チャールズダンスがやたら渋カッコイイ)。この映画は怪獣がメインです。ヴェラファーミガ演じるエマのラストシーン、あの様な場面で普通なら自己犠牲を感動的に演出しがちですが、この映画では違います。自らの罪を取り戻す為にただひたすらに行動する。そんな彼女を含む全てを消し去るゴジラ(チャンツィー演じる博士が東洋の怪獣について語っていた「罪を贖う〜」とも繋がるような気がします。)。そして彼女の最後のセリフ"Long Live the King"が全てを表しています。今作の人間たちの行動のほとんどがこのセリフに集約されていくように感じました。

 あとはオリジナルテーマを最大限に尊重した音楽も素晴らしかったです。

 不満点としては人間パートの映像演出です。特に前半の北極でのアクションは暗くごちゃごちゃしていて見にくく、もっと上手く見せられるんじゃないかと感じました。また飛行機内もセット感が強く、良くも悪くもB級テイストに感じました。

 

まとめ

 

 「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は不満点やツッコミどころもありますが、怪獣と人間のドラマが交差し、このタイトルがピッタリのモンスターオペラになっています。序盤でのモナーク研究員のセリフ「これは見逃せない」。その言葉通りゴジラファンで無くても見逃せない映画です。