良い作品なのにあまり知られていない映画というのは多いと思うが,『レオポルド・ブルームへの手紙』もその一つ.昔,深夜TVで放送されていたのをたまたま見て知った作品.
小説『ユリシーズ』を基にした映画(レオポルド・ブルームという名前でピンとくる人もいるだろう)で,主演はジョセフ・ファインズ,脇を固めるのはエリザベス・シュー,デニス・ホッパー,サム・シェパードと中々豪華である.ジョセフ・ファインズはハマり役で,彼の寡黙な雰囲気により彼が何を考えているか掴みづらいが,何か内に秘めたる思いがあるのだろうと感じさせてくれる.
日本版のポスターはいかにも「泣ける感動作」という雰囲気だが,実際はやや複雑な構成で文学的だ(確かに感動はするのだが,静かな感動という感じ).
最近,自分は運命論的なテーマのある作品が好きなのでは?と薄々感じているが,本作もそれに含まれるだろう.本作は「原罪」を背負ってしまった男が自己再生していく話でもある.
「僕の人生は生まれる前に始まった。母の罪の烙印.」
あまりネタバレはしない方が楽しめると思うのでこの辺で.定期的に観返したくなる作品.