otaku8’s diary

映画のこととか

PFFに行ってみた(『瀉血』『幽霊がいる家』ネタバレなし)

 フォロワーで友人の「シャンバラの雨」こと金子優太監督の初監督作品『瀉血』がPFFアワードで入選し,国立映画アーカイブで上映されるとのことで行ってみた.南香好監督作品『幽霊がいる家』との連続上映だった.

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 結論から書くと,両作品とも好き.『瀉血』はまずよく計算し尽くされていて,ちゃんと映像でストーリーを語っている.明暗が対比される地下道への分かれ道や互いにすれ違うモノレール,スイッチの点滅が印象的な自動販売機など,ロケーションとその使い方がとても巧かった.常日頃から身の回りに「映画的」な要素を見出そうとしているのかなと思った.また,普段から監督の話は聞いているので,彼の思想であったり好きな映画からの引用など,随所から拘りを感じられた.そうやって初監督作品でやりたいことがある程度ちゃんとできている(技術や予算の制約はあるが)ようで,それはとても良いことだと思う.金子監督をはじめ,役者の演技もみな良かった.棒読みでも大袈裟に芝居がかっているわけでもなく,とにかく自然体だった.

 『瀉血』は86分の長編だったが,『幽霊がいる家』は12分の短編.短い作品なのであまり内容には触れないようにするが,『瀉血』と『幽霊がいる家』は作風は全然違うのだが,「映画という創作・メディア」の特性に着目しているという共通項がある.前者が現実に対する創作の力を強調していたのに対し,後者では現実と創作のあいだに調和のようなものが見出されていく.これが非常に心地よく,もっと観ていたいと感じさせてくれる.南監督は好きな監督にギョーム・ブラックを挙げていた.この心地良さは確かに,例えばブラックの『女っ気なし』と似ているかもしれない?(アプローチは違うけど).

 二作品ともおすすめなので是非観てみてほしい.U-NEXTでも配信中.