otaku8’s diary

映画のこととか

【記録】MUBIで出会った良作10選#1

 MUBI(https://mubi.com)に加入してしばらく経つので、MUBIで出会った良作を定期的に記録しておこうと思う。第一回目。

 

『I Won’t Come Back』

MUBI: I Won't Come Back

 MUBIに加入してから最初に観た映画。孤児院出身の主人公が、ひょんなことから出会った同じく孤児である少女と共にカザフスタンを目指すロードムービー。淡々とした語りで派手さはないが、荒涼とした大地とその中で二人の人生が歩み寄っていく様子が美しく印象的だった。

 

『Nimic』

MUBI: Nimic

 ヨルゴス・ランティモスの短編で、マット・ディロン主演作品。10分弱で日常を侵食する不条理がよく描かれている。シュールで視覚・聴覚的に気味の悪さを与える作風はとてもランティモスらしく感じた。

 

『冬の旅』

MUBI: Vagabond

 自分がアニエス・ヴァルダにハマるきっかけになった作品。放浪する主人公モナは一見自由なのだが、社会に拒絶され続ける彼女には居場所がない。「自由かつ自由ではない女性」というのはバーバラ・ローデン『ワンダ』にも通じる。今度、2Kリマスター上映されるらしい。傑作かつ重要作品なので是非観てみて欲しい。

 

『Boro in the Box』

MUBI: Boro in the Box

 鬼才ベルトラン・マンディコが映画作家ヴァレリアン・ボロヴツィクの半生からインスピレーションを得て作った作品。マンディコはいつも奇妙な映画を撮っているイメージで、自分はあまりハマっていないのだが、本作はとても好みだった。


『The Happiest Girl in the World』

MUBI: The Happiest Girl in the World

 『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』のラドゥ・ジュデの長編デビュー作品。賞品を求めてCM撮影に来た少女。撮影では幸せそうな女性であることを強いられる。休憩中には両親からひたすらにお金の工面の話を強いられる。この二つの光景を繰り返し映しながら、「世界一幸せな少女」というタイトルとは裏腹に、資本主義のいやらしい姿を見せつけるような映画だった。

 

『愛の島ゴトー』

MUBI: Goto, Island of Love

 先ほど名前を挙げたヴァレリアン・ボロヴツィクの長編デビュー作品。独裁体制の孤島「ゴトー島」で独裁者の妻に惚れ、成り上がっていく男の話。平面的な構図が演劇性を生んでいて、閉塞感やシュールな感じをうまく出していた。時々垣間見えるフェティッシュな描写も良い。

 

MUBI: Mysterious Skin

 若きジョセフ・ゴードン=レヴィットが男娼を演じる。カリスマ性と脆さを兼ねた存在感が非常に素晴らしい。間接的に描写される性体験とそこから始まる物語が、ポップで暖かみのある語り口とは裏腹に、残酷かつ重くのし掛かっていた。

 

『雪崩』

MUBI: Faces of Children

 フランス古典映画の巨匠ジャック・フェデーの初期のサイレント映画。最愛の母を亡くした少年は、再婚した父のもとで暮らすことになるが、馴染めない。子供の描写の解像度が非常に高く、感情移入してしまった。美しいアルプス麓のショットの数々に見惚れる。全体の牧歌的な雰囲気と、速いカット割りにより緊張感高まる後半のコントラストが素晴らしい。

 

『ピショット』

MUBI: Pixote: The Law of the Weakest

 ウィリアム・ハート『蜘蛛女のキス』のヘクトール・バベンコ監督作品。ブラジルの貧困世界を生きる子供たちを描いた青春映画で、擬似家族映画ともいえる。本当に救いがないのはピショット役のフェルナンドのその後の人生。監督の優しい目線を感じる本作は束の間の希望にさえ感じた。

 

『地上の輝き』

MUBI: Earth Light

 遅れて再評価の波がきたらしいギィ・ジル監督作品。フランスで暮らす青年ピエールが故郷であるチュニジアに戻る旅を描く。『海辺の恋』『切られたパンに』『地上の輝き』と観てきたが、ギィ・ジル監督作品を映画では美しいショットとモンタージュが特徴的。特に後者は好みが分かれそうだが、自分は好き。