otaku8’s diary

映画のこととか

ウクライナでのユダヤ人大虐殺『バビ・ヤール』感想


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  セルゲイ・ロズニツァ監督作品『バビ・ヤール』を観た。ロズニツァの映画はまだ数作品しか観れていないが、その中でも本作は特に印象に残った。

 本作では第二次世界大戦中のウクライナで起きた「バビ・ヤール大虐殺」を当時のアーカイブ映像を繋いで描いている(https://neutmagazine.com/goodcinemapicks-babiyar)。

 本作、事件を解説するのではなく、観客に体感として知ってもらうことに重点を置いているようだ。なので、最低限の注釈、ナレーションしか登場しない。恥ずかしながら事件のことをあまり知らなかった自分には鑑賞中に整理出来ていない事項も多かったが、そこで起きていた事象は感ぜられた。これは後から知ったのだが、映像や写真に音を後から当てている場面もあるという。この点で、本作では虚構が果たす役割も大きく、それによってやはり体感として事象を伝えたい意図があるのではないだろうか。

 原題に"Context(文脈)"とある通り、虐殺そのものだけではなく、その前後の状況が描かれる。殺戮の瞬間を強調しすぎることはなく、あくまで一連の状況を伝えようとしている。それによって、ソ連とナチスドイツの間で揺れ動くキエフ(キーフ)の群衆がより強く印象に残った。

 

P.S.

『DAU』シリーズのイリヤ・フルジャノフスキーがアソシエイト・プロデューサーらしく、大変驚きました。