『モール/シャドウ・ロード』、シーズン1の最終話まで観た。結論から言えば傑作だった。モールといえば、『ファントム・メナス』での鮮烈なデビュー後、『クローン・ウォーズ』でその寡黙な戦士というイメージからはかけ離れた人間臭い姿で再登場した。『シャドウ・ロード』では、より人間らしい迷いも垣間見えた。
本作のモールは冷血無比なヴィランではない。例えば、彼は共に行動する犯罪組織メンバーに対して敬意を払っている。ただ利用して捨てるだけの存在だと思っていたヴァリオに対しても、何だかんだ仲間として接しているように見える。また、最終話では敵との交戦中、デヴォンやマスター・ダキに対して「先に行け」と自らを盾にして他者を守るような行為も散見される。もちろん、デヴォンを自分の弟子としたいという野望があるからではあるが、それを除いても、である。実際、モールは「ダキに対して敬意を払え」と釘を刺す場面もある。
彼がかつてシスの暗黒卿だった時代は、ジェダイは敵であり、それ以上でも以下でもなかった。しかし、皇帝(シディアス)が共通敵となった銀河帝国時代においては、彼にとってジェダイは必ずしも憎むべき対象ではなくなった。そのため、劇中でのモールとダキのやり取りからも分かるように、銀河帝国支配下でのダークサイド/ライトサイドの区分けは、方法論の違いという意味合いが一層強まったように思う。
最終話ではヴェイダーが登場し、念願のモールvsヴェイダーが実現する。ただし、ヴェイダーが一言も話さないため、舞台装置感が強かった。シディアスに人生を狂わされた犠牲者として彼らには共通項があるが、そこはシーズン2で触れられるのであろうか。さて、手ごわいヴェイダーに対して、モールはダキと共闘する。ここでも、猛攻で攻めようとするモールと足並みを合わせて協力プレイをしたいダキの齟齬が表現されている。とはいえ、少なくともこの瞬間では、モールはダキを「仲間」として認識していたように思う。しかし、劣勢を悟ったモール(義足が弱点すぎる)は、ここで(一瞬葛藤したようにも見える)行動に出る。つまり、ダキがヴェイダーに敗れることを見越した上で、彼を犠牲にしてその場を去ったのだ。これは、モールが逃げたかったというよりも、デヴォンにマスターの死を認識させることで、彼女をダークサイドに引き入れることのできるチャンスだと判断したのだろう。この行為は極めて狡猾であるものの、あくまで自らの目的を優先したまでだと受け止めた。このシーンにより、彼のキャラクターがより明確になったように思う。つまり、彼は強い信念のもとで行動しており、そのために敬意を持って他者と動く。しかし、その信念のためには、他者を犠牲にすることも厭わないのである。
映像面では、3Dアニメーションと油絵のような背景の組み合わせが素晴らしかった。また、ライトセーバー戦の描写はSWシリーズ全体で見ても、最高峰ではないか。個人的には、『クローン・ウォーズ』が始まったことでレジェンズ化した2Dアニメーション『クローン大戦』のライトセーバー戦の描き方を高く評価しているのだが、『モール/シャドウ・ロード』ではその3Dバージョンといった感じで素晴らしかった。アニメーションだからこその白眉である。
(まあ、個人的にはモールはいつまでも『ファントム・メナス』あるいは小説『闇の狩人』での印象が強いので、尋問官を圧倒してほしかったし、ヴェイダーともっと張り合ってほしかったが)
