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今、『アリータ:バトル・エンジェル』の続編はどうなっているのか?~アリータの現在地~

 『アリータ:バトル・エンジェル』(『アリータ』)の続編はどうなっているのか。2019年の公開から時間が経った今でも、この問いは消えていない。むしろ、時間が経つほどに、この映画は奇妙な粘り強さを見せている。公開後にファンによって生かされ続けてきた映画。それが『アリータ』なのだと思う。

 現時点で『アリータ2』の正式な公開日や製作開始は発表されていない。しかし、続編の可能性が完全に消えたわけでもない。むしろ、近年の発言を見る限り、ジェームズ・キャメロンとロバート・ロドリゲスは、少なくとも続編を作る意思をかなり強く持っているように見える。2025年には、キャメロンがロドリゲスと「少なくとももう1本」の『アリータ』映画を作る意思を語り、さらに3作目につながる構成にも触れたと報じられている[1]。

 私自身、最近は『アリータ』の続編を求める発信を殆どしていなかった。その意味で、自らへの戒めも兼ねて本記事では、『アリータ2』の現在地について自分なりに整理した。もし、情報や間違いがあったら指摘をしてほしい。

 

『アリータ』は失敗作だったのか

 続編の話になると、まず避けて通れないのが興行成績である。『アリータ:バトル・エンジェル』は、ロバート・ロドリゲス監督、ジェームズ・キャメロン製作・脚本、木城ゆきとの漫画『銃夢』を原作とするSFアクション映画として2019年に公開された。興行成績は世界累計で約4億ドル。Box Office Mojoでは世界興収が404,980,543ドルと記録されている[2]。

 この数字だけを見れば、決して失敗ではないものの、製作費も大きかった。The Numbersでは製作費を1億7000万ドルとしており、世界興収は製作費の約2.4倍だったとされている[3] 。つまり『アリータ』は、単純な大失敗作ではないが、スタジオが即座に続編へ動くほどの圧倒的な大ヒットでもなかった。この中途半端さが、続編を長く宙吊りにしてきた大きな理由のひとつだろう。

 ただ、ここで重要なのは、『アリータ』が数字だけで語れる映画ではないということだ。公開当時の興行だけであれば、続編の可能性はかなり厳しかったかもしれない。しかし、この映画にはその後も作品を支持し続けるファンがいた。いわゆるAlita Armyである。

Alita Armyとは何か

 Alita Armyとは、『アリータ:バトル・エンジェル』の続編実現を求めて活動してきた国際的なファンコミュニティである。単にSNSで声を上げるだけではなく、署名運動、バナー広告、ビルボード、チャリティ活動などを通じて、『アリータ』という映画がまだ求められていることを可視化してきた。Alita Army公式サイト [4] では、続編を求める署名が17万人以上に達していること、アカデミー賞会場上空でのバナー飛行、ビルボード掲出、義肢支援のための寄付活動などが紹介されている。また、X上では、現時点も#AlitaArmyで続編を求めたり、作品の魅力を伝える投稿が続く。

 この活動の面白さは、単なる「続編を作ってほしい」という要求に留まっていないところにある。Alita Armyは、『アリータ』というキャラクターの精神を、ファン活動そのものに接続しているように見える。アリータは、自分が何者なのかを知らない状態で目覚め、それでも自分の心に従って戦ってきた。Alita Armyもまた、続編が保証されていない状況の中で、それでも作品を忘れさせないために動き続けてきた。

 つまり、Alita Armyは単なる熱狂的ファン集団ではなく、むしろ、映画公開後の空白を埋めてきた存在だと言っても良いだろう。スタジオが沈黙しているあいだ、彼らは『アリータ』を語り続けた。それによって、続編があるかどうか分からない時間の中で、「アリータ」を「終わった作品」にしなかったのである。

なぜ続編はここまで時間がかかっているのか

 では、なぜここまで続編は実現していないのか。理由はいくつか考えられる。

 まず、先に述べたように興行成績が判断を難しくしている。『アリータ』は世界で約4億ドルを稼いだが、製作費も高く、続編を即決できるほど明快な成功ではなかった[2][3]。

 次に、20世紀FoxからDisneyへの移行がある。『アリータ:バトル・エンジェル』は20世紀Fox作品として公開されたが、その時期はDisneyによるFox買収と重なっていた。スタジオの体制が変われば、企画の優先順位も変わる。作品への愛やファンの声だけでなく、会社側の戦略や権利関係、シリーズ展開の判断が絡んでくる。

 さらに、ジェームズ・キャメロン自身のスケジュールも大きい。キャメロンはパーソナルな取り組みと言ってもいい『アバター』シリーズを抱えており、『アリータ』だけに集中できる状況ではなかった。2025年の報道でも、キャメロンが『アバター』関連の作業を終えた後に、近くに住むロドリゲスとより本格的に話を進める可能性に触れている[1]。ただし、キャメロンは、ちょうど『アバター』が公開された2009年から企画が進んでいた原爆による「二重被爆者」を題材にした『ゴースツ・オブ・ヒロシマ』を進めていたりと、直ぐには『アリータ』には取り掛れそうもない(個人的には、こちらも15年ほど企画が温められているので、早く実現して欲しいが)。

 つまり、『アリータ2』が遅れている理由は、単に人気がないからではない。興行、スタジオ再編、キャメロンのスケジュール、そして大規模SF映画としての製作費。などなど、様々な要因が重なっている。

希望はまだ残っている

 とはいえ、最近の発言を見る限り、希望はまだ残っている。2025年、ジェームズ・キャメロンはロバート・ロドリゲスと「少なくとももう1本」の『アリータ』映画を作る意思を語り、さらに3作目へつながる構成にも言及したと報じられた[1]。

 これは、ただのリップサービスとは少し違って見える。もちろん、正式発表ではないが、「作りたい」という曖昧な願望ではなく、キャメロンとロドリゲスが再びこの企画について具体的に話しているという点は大きい。

 しかも、キャメロンはファンの忠誠心にも言及している[1]。つまり、Alita Armyの活動は、少なくとも製作側の視界に入っている。ファンの声がそのまま続編を実現させるわけではないとしても、作品の熱が消えていないことを証明し続けているのは間違いないだろう。

 また、キャメロンやロドリゲス以外の『アリータ』関係者も続編には前向きである。例えばアリータ役のローサ・サラザールは自ら続編の企画書を提出した[5]。そういう意味でも、まだ諦めるのは早いのである。

続編では何が描かれるのか

 1作目のラストは、明らかに続編を意識した終わり方だった。アリータはヒューゴを失い、モーターボールの舞台へ進み、ザレムにいるノヴァへと刃を向ける。あのラストを見れば、続編でノヴァとの対峙、ザレムへの接近、そしてアリータ自身の過去が描かれることを期待するのは自然だ。

 『アリータ:バトル・エンジェル』は、物語としてはまだ入口にすぎない。アリータが何者なのか。彼女の過去に何があったのか。ザレムとは何なのか。ノヴァは何を企んでいるのか。映画はそれらの問いを提示したまま終わっている。

 だからこそ、続編を求める声がここまで長く続いているのだろう。『アリータ』は、ただ「面白かったからもう1本観たい」というタイプの映画ではない。物語が開きかけたところで止まっている。観客は、アリータが本当に上へ向かうところをまだ見ていないのだ。

『アリータ』はなぜ忘れられなかったのか

 『アリータ:バトル・エンジェル』には、公開当時から少し不思議な位置づけがあった。超大作でありながら、MCUのような巨大シリーズの一部ではなく、スター・ウォーズのような既に完成された神話でもない。木城ゆきとの『銃夢』という原作を持ちながら、どこか孤独といってもいいような雰囲気を醸し出している。

 その孤独さは、アリータというキャラクター自身とも重なる。鉄くずの山に捨てられた彼女は、巨大な世界の中で、自分の居場所を探している。誰かに作られた身体を持ちながら、それでも自分の心を信じようとする。だからこの映画は、単なるSFアクション以上に、「自分は何者なのか」という物語として記憶されているのだと思う。

 Alita Armyがここまでこの映画を支えてきた理由も、そこにあるのではないか。『アリータ』は完璧な映画ではない。興行的にも、シリーズ展開としても、決して順風満帆ではなかった。しかし、アリータというキャラクターには、観客が守りたくなる何かがあった。

『アリータ』はまだ終わっていない

 『アリータ2』は、まだ正式に決まった作品ではない。現時点で公開日はないし、製作開始も発表されていない。その意味では、過度な期待は禁物である。

 しかし、『アリータ:バトル・エンジェル』は終わった映画でもない。ジェームズ・キャメロンとロバート・ロドリゲスは続編への意欲を示し続けている。Alita Armyは、公開から何年経っても作品を語り続けている。そして、1作目のラストは、本作があくまで始まりの物語であることを示していた。

 『アリータ』は、公開後に時間差で育った映画だったともいえる。スタジオが沈黙しているあいだも、ファンはアリータを忘れなかった。その事実こそが、この映画の生命力を証明している。

 続編が実現するかどうかは、まだ分からないが、それでも確かなのは、『アリータ』がいまだに語られるべき映画であり続けているということだ。アリータがザレムを見上げたまま終わったように、私たちもまた、まだその先を見上げている。

出典

[1] James Cameron says he and Robert Rodriguez have "sworn a blood oath" to make "at least one more" Alita movie, but they want to make "an architecture that bridges to a third film" | GamesRadar+

[2] Alita: Battle Angel - Box Office Mojo

[3]  Alita: Battle Angel (2019) - Box Office and Financial Information

[4] 

alitaarmy.org

[5]https://youtu.be/b0KrrCU2ru8

 

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