東京国際映画祭で『英国人の手紙』を観た。詩人で小説家の主人公が、彼の父がナミブ砂漠に残した文書を探す旅に出かける話である。監督のセルジオ・グルシアーノは前作で『絶海9000m』という本作とは似ても似つかないパニック映画を撮っている(未観)。企画元となったプロデューサーの大御所パウロ・ブランコである。
アンゴラは大航海時代以降におけるポルトガルによる植民地化と独立運動、その文脈上での諸国による介入を伴う内戦が勃発した。正直、そうしたポルトガルによる植民地時代を踏まえたアンゴラ史を知らないと話がよく掴めない。また、本作では長い過去パートがいくつか存在するが、それらが工夫なく直列に繋がっているため、そもそもよく分からない話の上によく分からない話が乗っかって…と理解が追いつかなくなった。また、ロケーションのおかげで映像は綺麗だが映画的なショットの面白味みたいなものはあまり感じられなく、全体として語りが淡々とし過ぎている(一つめの過去パートでは少し感じられたが)。ただ、不思議と嫌いではなく、ラストの締め方は結構好きだった。
【参考】