基本的に満足していて、三部作の締めとしては申し分なかったが、敢えて気になった点を中心にして書く。
ギャグシーンで停滞する(映像でギャグを見せてから台詞で再度そのギャグを解説するためだろう)とか気になる点はいくつかあるが、一番は、ガーディアンズがあまり「ヒーロー」に見えないことだ。まず、カウンターアースの住民に対して彼らはあまりに無関心である。クイルたちが住民の女性の家に上がった場面では彼女が家族と撮ったであろう写真が映される。つまり、カウンターアースの住民も自分たちと同じように生活をしていることを強調しているわけだ。にも拘らず、カウンターアースが滅ぼされても「皆んな滅ぼすなんて」と言うだけでそれ以上特に言及されない。勿論あの状況でどうすることも出来ないのは分かるが、それにしても彼らの死に対して気にかけてすらいないように見える。本作は盛り込み過ぎのきらいがあるので、そこまで描く余裕はなかったのかもしれない。また、敵の本拠地に乗り込んだクイルは「皆殺しにしろ!」と繰り返す。つまり、ガーディアンズは仲間の為に命をかけるが、それ以外に対しては極めて無関心に見えてしまう。これはヒーローと言えるのか?その意味では、収容された子供たちを助ける展開は良かった。勿論、ガーディアンズは自分が考えているようなヒーローではないと言われたらそれまでだが。
というのが終盤までの印象だが、ここでロケットの存在が効いてくる。自分のルーツであるアライグマだけでなく、その他の動物たちも助ける。一番憎むべきハイ・エボリューショナリーに対しても、「クソガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだから」とトドメを刺さない。描き込みが深い分、この映画の中で一番ヒーロー然している。そしてクイルは「俺よりリーダーに向いてる」と、ガーディアンズを継承する。クイルたちの「他者」への無関心は意図してかは分からないが、結果的にとても納得がいく着地になっていた。
と思うところはあれど、締めが良かったので終わり良ければ全て良しという気持ちになってしまった。特に不安要素だったガモーラが、ガーディアンズではなくリヴェンジャーズの元に帰っていったのは良かった。多様な生き方を肯定してくれる。エンドロールの選曲も最高だ。一曲目のお馴染みの『Hooked on A Feeling』は勿論、二曲目の『Bad Land』はスプリングスティーンが好きなので嬉しいサプライズ。彼らの旅出を祝福する曲だ。