otaku8’s diary

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Netflix映画『アテナ』感想(ネタバレなし)


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 Netflix『アテナ』を観た。しれっと配信されているので本作の存在すら知らない人が多いのではという感じだが、これが中々の力作であった。

あらすじは以下

ひとりの少年が殺害された悲しい事件をきっかけに、激しい戦いの舞台と化したアテナ団地。その争いの渦中には、被害者である少年の兄たちがいた。(Netflixより)

 フランス団地映画といえばレジ・リ監督作『レ・ミゼラブル』(2019)が思いだされるが、実際に脚本にはレジ・リが関わっているようだ。確かに共通点は多い。警察(権力)vs 国民の構図であったり、炙り出される負の連鎖。

 本作でまず印象的なのは長回しを多用したアクション演出だ。特に冒頭シーンの臨場感は必見。長回し(風)といえば、没入感を出そうとしているのは分かるが、却ってカメラの存在が気になってしまい没入し辛いというケースが多々ある(個人的には『1917』も当てはまる)。その点、本作ではカメラの存在をあまり意識せずに観ることができたので良かった。

 そんなわけでアクション演出に凝った映画ではあるが、そのスペクタクル性によって、その裏返しとして同時に暴力による負の連鎖の虚しさも強調される。

 大変力作なのだが、気になるところもある。例えば圧巻の冒頭からテンションがあまり変わらないまま物語が進行するので、少々のっぺりとした印象を持ってしまった。また、何人かのキャラクターの扱いが勿体ないとも思った。

 ともあれNetflixでしれっと配信されるには惜しい作品なので、是非広く観られて欲しい映画である。