otaku8’s diary

映画のこととか

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』感想 キャメロンのライフワーク(ネタバレなし)

 新宿バルト9のHFRドルビーで鑑賞。これは観る前から分かっていたことだが、現実/虚構の差などどうでも良く思わせてくる映像についてはやはり全編凄まじい。特に『タイタニック』で使っていたような水没するリアルなセットとモーションキャプチャーのアバターが同居するところに感動した。アクション演出も流石キャメロン印。キャメロンのアクションはしっかり交通整理がされているから位置関係を把握しやすい。やたらとカットを割ったり手振れを激しくすることもないから大変見やすいのだ。
 脚本については正直あまり褒められないが、前世代の香りがする語り口は個人的には好き。ちなみに武器やガジェットも前時代的ではあるのだが、自分としてはそこが好きなところ。新キャラも魅力的。特にシガニー・ウィーバーが演じるシガニー・ウィーバーの娘キリが良かった。

 一番気になったのは言語の問題。世界構築をする上で重要となるナヴィ語はキャメロンと言語学者が創り上げたもので、作中でも一応登場するが、殆ど英語だけで意思疎通が可能な様である。森の民については前作を踏まえて英語が広まっている理屈を考えることは一応できるが、流石に海の民については英語があんなに広まっているのはおかしい。さらに作中で「通訳」の意義が薄まることもあり、やはり無理がある。ハリウッド映画においてはこういう言語の問題はよくあるが、せっかくナヴィ語を生み出しても英語を主に使わなければいけないのは、ディテールに拘るキャメロンをもってしてもやはり商業大作とする為には妥協が必要ということか。
 また、『SF映画術』でキャメロンは帰属意識の話をしていた。『アバター』でもそれはテーマになっていて、一作目では人間vsナヴィの分かりやすい構図で白人酋長ものをやっていた。続編ではナヴィの中での大小の共同体で揺れ動くドラマがあったが、それは上手くいっていたか?
 今後の展開について、インタビューによれば、映像的にはほぼ完成されているので、あとは製作効率を上げるためにAI等を使って研究開発していくらしい。何はともあれ、キャメロンのライフワーク的作品であるので、今後も応援したい。ただし、アリータも忘れずに!!

↓キャメロンがロドリゲスとアリータ続編について血の契りを交わした映像


www.youtube.com